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会社設立時の定款「事業目的」を考える

2014/07/28

会社設立時の定款「事業目的」を考える

事業目的

「起業をしよう!」と思い立ち、株式会社の設立を考えられている方であれば、会社として何の事業を行おうかは決まっていると思います。実施に設立の手続きを進めていく上では、これから始めたい事業を文字として完結に表現し、対外的に示さなければなりません。

株式会社として始めたい目的を羅列すれば良いのですが、注意点とポイントがあるのでご紹介します。

事業目的とは

株式会社でいう事業目的とは、定款で定め、登記申請を行っている事業の内容を指します(附帯関連する事業は含まれます)。登記された後、登記簿謄本に記載される事項となります。
この登記簿謄本は法務局に出向き、手続きを行えば誰でも取得が可能です。

株式会社は定款に記載された事業目的のみを事業として行うことができます。記載のない事業は行えない為、新たに事業を行う場合には、新たに事業目的を定めて、改めて登記をしなければなりません。この登記事項を変更する手続きを「変更登記」といいます。

事業目的を定める

定款の中で「事業目的」は、下記のように記載されます。(下記は掲載の一例です)
事業目的は、「適法性」「営利性」「明確性」の要件を満たしている必要があります。

  • (目 的)
  • 第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
  • 1 広告代理店業
  • 2 インターネットを利用した各種商品の販売
  • 3 ソフトウェアの企画、開発、保守、運用及び販売
  • 4 上記各号に附帯関連する一切の業務

「適法性」とは… ⇒ 法律は守りましょう!

法律に順守した目的でなければなりません。
「拳銃の卸、販売業」などの目的は当然定めることも行うこともできません。取引が禁止されている動物や食品の輸出入、販売なども認められません。
また、弁護士や税理士等の有資格者のみが行える業務も行えません。

「営利性」とは… ⇒ 儲けよう!

株式会社は、事業を通じて利益を上げることを目的としていなければなりません。
「ボランティア活動」「寄付・献金事業」などは認められません。そのような活動を行いたい場合には、NPO法人(特定非営利活動法人)等での活動が認められています。

「明確性」とは… ⇒ わかりやすく!

第三者が見ても何を行っているか明確であるかが、大事です。「営業」「販売」のみでは、何を行っているか、定かではありません。「○○に関する営業代行業」「日用品、雑貨等の販売」等、わかりやすく記載をするように心がけましょう。

専門性の高い業種の場合にはできる限り、一般的な用語を用いて記載しましょう。一部の専門業の人にしか伝わらない場合には、認められない可能性があります。また、同じものを指して複数の呼び方がある場合には、表現として適しているものを選択し、事前に公証役場確認をとりましょう。

よく曖昧になる事業目的の例

「ウェブ」「WEB」「Web」「ウェブサイト」「サイト」「インターネットサイト」「HP」「ホームページ」…などはよく認識が曖昧なので、目的を決めるときもなんとなくで、決めてしまいがちです。

ちなみに、上記の語群は下記のような構成で表現されます。

区 分 内 容
Internet(インターネット) ネットワーク全体のこと
 ∟ Web(ウェブ) World Wide Webのこと。URLに記載のあるhttp://www.~のwwwは「World Wide Web」の略称です。下記の総称として使われています。
  ∟ Web Site(ウェブサイト) 下記の「Web Page」が集まったもの
   ∟ Home Page(ホームページ) ブラウザを立ち上げたとき最初に表示されるページまたはWebサイト内のトップページのこと
   ∟ Web Page (ウェブページ) ブラウザで表示される1ページのこと

“表現として適切な「ウェブサイトの制作」”という記載と“社会的に認知されている「ホームページの制作」”会社の事業として、より適したものを選びましょう。

他にも「コンピューター・コンピュータ」「コンサルティング・コンサルタント」「制作・製作」「食品・食料品・飲料品・飲料水・清涼飲料水」など、認識が曖昧なものが多々あります。内容を理解した上で、社会通念に合わせたものを選びましょう。

事業目的を定める際の注意点

原則日本語で記載

以前は、日本語での記載しか認められていませんでした。現在は、ローマ字を含む表記が社会的に認知されている場合のみ認められています。
カタカナとして表現が可能な場合にはカタカナで記載しましょう。また、専門の業種のみで使われている単語は注意しましょう。

事業目的で一番最初の目的

事業目的を定める上で一番最初に定める事業目的は、その会社を表すときに一番適した目的を持ってきましょう。

第三者はその会社の事業をすべて把握していない為、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)等を見て、どのような会社か判断します。対外的に「何を行っている会社ですか?」と問われたときに答える事業を事業目的の一番始めに掲げるとよいでしょう。

許認可事業

「派遣事業」「古物商」「飲食店業」「建設」「不動産」等、他にも様々な許認可事業があります。許認可申請の手続きは株式会社の設立後に行っていきますが、申請の要件として、事業目的に対象事業の記載が必要です。記載がない場合には、変更登記で再度手続きが必要となってしまう為、注意が必要です。

事前に認可申請を受け付ける機関(都道府県・警察署・保険所・税務署・国土交通省)に確認をとりましょう。

よく使われる事業目的の例

  • ・ 飲食店業
  • ・ 経営に関するコンサルティング
  • ・ 広告代理店業
  • ・ インターネットを利用した各種商品の販売
  • ・ ソフトウェアの企画、開発、保守、運用及び販売
  • ・ 印刷物の企画、デザイン及び制作
  • ・ ウェブサイトの企画、デザイン、制作、運営及び保守
  • ・ 建築及び内装工事における企画、設計、請負、施工及び監理
  • ・ 古物営業法に定める古物商
  • ・ 金融商品に対する投資
  • ・ 執筆業及び出版業
  • ・ 店舗、内装デザインの企画及び設計
  • ・ 不動産の売買、交換、賃貸借及びそれらの仲介、並びに所有、管理及び利用等

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