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2015/09/28
会社を経営していくと、事業の規模によって従業員の雇用も増えてきます。しかし、いざ事業が立ち行かなくなった場合には、経費の削減が求められます。
無駄な経費を削減するのはもちろんですが、状況によっては従業員の方にやむなく、やめてもらわないといけない状況になる場合もあります。また、他にも…
「どうしても会社の風潮に合わない」
「勤務態度が悪く、これ以上雇用できない」
などの理由の場合もあるでしょう。
そんな場合には、どのような手続きが必要かご紹介します。
解雇にもいくつかの種類があります。いくつか確認をしてみましょう。
労働者側に問題があり、解雇しなければならない状況で解雇を行う場合になります。具体的には、「勤務態度が悪い」や「能力が明らかに劣っている」、「遅刻・欠勤を繰り返す」等、業務や他の社員へのマイナスの影響があったり、会社にとってマイナスでしかない場合に、やむなく辞めてもらう場合になります。
リストラという言葉であれば、聞いたことがあるかもしれませんが、経営状況の悪化に伴う解雇手続きになります。
通常、急な解雇手続きは行わずに、退職希望者を事前に募ったりし、順を追って手続きを行い、最終的に整理解雇を行います。
懲戒解雇は、労働者側に明らかな就業違反、法律違反があった時などに、それを理由に解雇することになります。
具体的には、「横領があった」「社外秘の機密情報をもらした」等、明確な解雇理由がある場合になります。
整理解雇と懲戒解雇については、会社や従業員の希望とは関係なく、状況的にしかたなく解雇となります。
しかし、普通解雇の場合には、会社側が辞めてもらいたいという希望があっての解雇になります。従業員には継続して働くことができる権利がある為、下手に解雇してしまうと不当解雇でトラブルになる可能性があります。
余程でない限り、会社としては一方的に解雇を告げることができない事を念頭においておきましょう。
リスクはあるとはいっても、そのまま働かれてしまうと、人件費も発生し、トラブルも増えるため、良い状態とは言えません。どうしても辞めてもらいたい場合には、順をおって手続きをしていきましょう。今回は普通解雇を行う場合の流れをご紹介します。
まずは、就業規則について見直してみましょう。
就業規則を事前にしっかりと定め、改めて社員全員へ周知させましょう。特に懲戒解雇を含め、従業員に懲戒処分を下すためには、就業規則にその懲戒事項を明記しておく必要があります(この考え方を「限定列挙」と言い、明記されている事項以外での懲戒を行うことができません)。また、社内の決まりを改めて伝えることにより改善が図れる場合があります。
普通解雇の場合、労働者に非があるとしても、その前に会社側がどのような解雇回避努力を行ってきたのかが、解雇の有効性の中で議論となります。解雇回避努力の代表例を紹介します。
問題の社員に対しては、具体的な内容を書面にて注意をしましょう。口頭では、改善を促したという証拠が残りません。
どのような事が出来ていなく、どのように改善してもらいたいかを箇条書きでも良いので、書面に記載し、当事者へ渡しましょう。
面談のような形で時間を設け、ひとつひとつ相手の言い分も聞くようにして改善を促しましょう。また、改善してもらうまでの期限を定めておくようにうましょう。
この際の留意事項としては、圧迫的な面談や指導を行わないことです。逆にパワハラとして、企業側が不利になるケースも発生しています。このような面談は、可能であれば、従業員と1対1ではなく、人事部門等の第3者も交えて行うことが望ましいです。
業務態度等では、本人の意思による所が大きいですが、業務能力の場合には、得意不得意があります。いくつかの部署がある場合には、部署替えや業務内容を変更してみることで、改善を図ってみてください。
トラブル時にも業務内容が論点になる事があります。業務内容や部署替えをする際には、改めて辞令などを出して、証拠を残すと良いかもしれません。
従業員へ改善を図った結果、なかなか改善がみられない場合には、普通解雇を行う前に、まずは自主退職をすすめましょう。これを退職勧奨といいます。解雇は会社側からの一方的な通告になる為、退職を希望される方が、リスクが低くなります。
改めて話し合いの場を設け、以前に提示した改善項目が未だ改善されていない事を話、自主退職の選択肢があることを伝えましょう。
伝える時には注意してください。絶対に強制はしてはいけません。また、何度も退職を促たり、長時間拘束して退職を強制してもいけません。これもパワハラとなってしまうリスクがあります。
解雇を告げる前に、自主退社という方法があるということを一度だけ伝えましょう。
会社として、従業員の為にとれる手段をとった結果、従業員が応えてくれない場合には、仕方がないので、解雇を告げましょう。
その際には、会社都合での解雇となる為、30日前に解雇予告を行うか、解雇予告手当の支払いが必要となります。解雇予告手当は30日分以上の平均賃金となっています。仮に解雇予告を10日前に行う場合、解雇予告手当は20日分となります。
こちらの取り決めも事前に就業規則にて定めておくと良いでしょう。
整理解雇を行う場合は、整理解雇の4要件という以下の項目を検討する必要があります。これらが合理的に説明できないと、整理解雇が無効となることがあります。
企業経営上、本当に経営不振に陥っているか。客観的証拠として、財務諸表や事業計画を示す必要があります。また、整理解雇直後に、大量採用や賃上げ、株式の高配当などが行われると、必要性が否定される可能性があります。
普通解雇と同じく、解雇を回避するために部署異動や、希望退職者の募集、役職者等の言及処置などが行われたかどうかがテーマとなります。
整理解雇の対象者を恣意的に選んではいけないというものになります。客観的な基準を設ける必要があります。
会社が一方的に整理解雇を行うのではなく、従業員や労働組合等と十分に議論を行ったのかということが重要になってきます。可能な限り、労働者側の意見を尊重しながら整理解雇を実施する必要があります。
思うように働いてくれない従業員がいると、感情に任せて「辞めてくれ」や「明日から来なくて良い」等と怒鳴りたくなることもあるかもしれません。
しかし、働く従業員は弱い立場なので、しっかりと法律で守られています。やみくもに解雇を告げても、さらにトラブルが増えてしまいます。動くときには慎重に対処しましょう。
解雇手続きは、労務管理という点では、最も難しい業務と言っても過言ではありません。今回の記事で紹介した事項はあくまで基本的な考え方であり、実際の対応はケースバイケースです。やむなく解雇を検討される場合は、必ず専門家を活用することを推奨します。
しかし、せっかく一緒に働く従業員なので、出来れば解雇といった方法は取りたくないものですね。
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