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労働保険と年度更新について その2

2015/06/11

労働保険と年度更新について その2

roudouhoken

前回は労働保険の年度更新の準備として、「そもそも労働保険料とは?」という話をしました。
今回は、「年度更新の手続き」について、具体的に見ていきましょう。

年度更新の手続き

この記事のテーマである労働保険の年度更新とは、いったいどんな作業をする手続きなのでしょうか。それは、以下の3つの要素に分けることができます。

  • 1.前年度の確定保険料の申告・納付
  • 2.一般拠出金の申告・納付
  • 3.新年度の概算保険料の申告・納付

前年度の給与の支給実績に基づいて保険料を計算し予定納付していた保険料との精算を行います。
そして、同様に前年度の支給実績に基づいて一般拠出金を計算しこれを納め、新しい年度の保険料を見込額で予定納付します。この一連の手続きを「年度更新」と呼びます。

具体例とともに、「年度更新」の流れを確認してみましょう。

  • ・2015年1月に会社を設立
  • ・設立時に従業員1名(従業員A)
  • ・基本給20万円
  • ・事業区分:(労災)その他の事業・その他の各種事業/(雇用)一般の事業

2015年1月:最初の保険料納付

従業員1名分の労働保険料を、給与の支給見込額で計算して予定納付します。
また、支給見込額を基に計算した保険料のことを「概算保険料」と呼びます。
このとき、計算期間となるのは保険年度と呼ばれる4月から翌3月の一年間です。

手順 計算

STEP1
給与の支給見込額の計算

20万円×3か月(2015年1月~3月分)=60万円

STEP2
見込額を基に概算保険料の計算

労災:60万円×3/1000=1,800円・・・①
雇用:60万円×13.5/1000=8,100円・・・②
①+②=9,900円・・・③

STEP3
労働保険料の納付

③の概算保険料を納付します。

2015年6・7月:年度更新

ここで初めての年度更新が訪れます。
ここでは、実際支給した給与額を基に計算した保険料と一般拠出金、次の年度分の概算保険料を納めます。また、実際支給額を基に計算した保険料のことを「確定保険料」と呼びます。

手順 計算

STEP1
実際の給与支給額の集計

20万円×3か月(2015年1月~3月月分)=60万円

STEP2
実際支給額を基に
確定保険料の計算

労災:67万円× 3/1000=2,010円・・・①’
雇用:67万円×13.5/1000=9,045円・・・②’

①’+②’=11,055円・・・③’

STEP3
前年度の保険料の精算

確定保険料③’から既に納付していた概算保険料③を差し引いた金額を精算します。

③’-③=1,155円・・・

差額がプラスの場合:保険料の不足額となり、追加で納めます。
差額がマイナスの場合:保険料の過払いとなり、還付請求をするか新年度の保険料に充当します。

STEP4
一般拠出金の計算

一般拠出金とは、アスベスト(石綿)により健康被害を受けた方のための給付金のことです。
一般拠出金の計算も実際の支給額を基に行われます。

67万円×0.02/1000=13.4(小数点以下切捨て)・・・

STEP5
次年度の支給見込額の
計算

計算する時点の従業員数と基本給等の情報を基に見込額を計算します。

従業員A:基本給20万円
従業員B:4月から雇用・基本給22万円

(20万円+22万円)×12ヶ月(2015年4月~2016年3月分)=504万円

STEP6
概算保険料の計算

労災:504万円×3/1000=15,120円・・・⑥
雇用:504万円×13.5/1000=68,040円・・・⑦

⑥+⑦=83,160円・・・

STEP7
保険料の納付

上記で計算した保険料や一般拠出金を合算して納付します。

④+⑤+⑧=84,328円

2016年6・7月:年度更新(2回目以降)

2度目の年度更新以降は、最初の年度更新とほぼ同じ流れとなります。

上記の流れのように、従業員の少ない会社や給与に変動が少ない会社にとっては、この「年度更新の手続き」は特別手間のかかる作業ではないでしょう。
しかし、従業員の人数が増えれば資料の管理も難しくなり、資料準備やその集計も手間がかかってしまいます。

必要なときに必要な情報が引き出せるよう、日頃から賃金台帳や給与明細等の給与資料の管理をしっかりと行っておきましょう。

ご案内

会社設立パートナーでは、「労働保険料年度更新」手続きを代行しています。
給与情報と必要書類をお預かりさせていただき、社会保険労務士が代理申請致します。
ご依頼をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

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