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2014/09/18
何か事業を始めようと思った時、株式会社と会社を設立して事業を行っていくか、個人事業主の届出を行いまずは個人で事業を行うか判断に困ります。必然的に株式会社でなければならない場合は簡単ですが、事業規模的にもどちらでも良い場合、なかなか決めかねるところです。
あなたは、これから事業を始める時、どちらがより適しているか判断できますか?
個人事業主と株式会社とでは、何が異なるかわかりますでしょうか?
大きく項目別に比較していましょう。
内容 | 個人事業主 | 株式会社 |
---|---|---|
決算期 | 12月31日 | 事業形態に合わせて設定できる |
責任範囲 | 無限責任 事業に失敗いた場合、全責任を負う |
有限責任 出資の範囲内で責任を負う |
社会的信用 | 法人と比べ低い 法人でないと取引が限定される場合がある |
相対的に信用度が高い |
資金調達力 | 不利である 金融機関からの融資が受けにくい |
有利である 金融機関からの融資が比較的有利に受けられる 株式の発行による資金調達ができる |
利益にかかる税金 | 所得税+住民税 15%~50% |
法人税+地方税 概ね 30%~35% |
赤字の場合の税金 | かからない | 法人住民税の均等割額がかかる 資本金1,000万円以下で従業員50人以下の場合7万円 |
給与所得控除 | 給与所得控除ができない | 給与所得控除ができる |
記帳・決算 | 単式簿記でも可 白色申告の場合比較的簡単 |
複式簿記 厳密性が要求される |
繰越欠損金 | 3年間 ※ 青色申告の承認を受けている場合のみ |
9年間 ※ 青色申告の承認を受けている場合のみ |
人材の募集 | 不利である | 有能な人材を集めやすい 会社であれば、就職した際に社会保険に加入できます。人材の募集を考える時有利となります。 |
社会保険 | 事業主は加入できない | 適用事業主になれば加入できる 病気やケガで仕事に就けなくなった時に通常の報酬の3分の2の手当てが支給される |
給与・役員報酬 | 従業員の給与のみ経費となる | 給与・役員報酬ともに経費になる |
退職金 | 事業主に対して退職金を支給できない | 適正額は会社の損金(経費)となる |
生命保険料 | 事業主の生命保険料は必要経費にできない | 一定の生命保険料が損金(経費)となる |
交際費 | 必要経費となる | 資本金の額によって限度がある。資本金1億円未満法人の場合、交際費×90%。交際費が年額600万円超の場合540万円。 |
減価償却費 | 強制償却 | 任意償却 |
まず、重要な点として有限責任か無限責任かどうかが異なります。これは、何かの事象で責任が発生した場合、責任がどこまで問われるかということです。倫理観や脱法行為等は別として法人として責任を負わなければならいのは、株式会社が存続している期間に限ります。
出資をしている株主からすると、出資額の範囲内で責任を追っているので、それ以上の金銭的な責任を追う必要がありません。
しかし、個人事業主の場合にはあくまで個人に責任が問われるものになります。
株式会社の場合、仮に年間の収支が赤字であったとしても均等割りとして法人税を納める必要があります。東京都内に本店がある事業所では、最低でも均等割りとして年間に7万円は法人税を納めなければなりません。
表で見る概要での比較も大事ですが、実際には手続きや対外的な見られ方、取引の優位性など…見る観点で異なります。次に視点別で見ていきましょう。
すぐにでも事業を始めたい、またはすぐに事業を辞める時に簡単に終わらせたい場合には、個人事業主が良いでしょう。税務署へ届出することで個人事業主となります。
株式会社を設立する場合には、まず設立手続きに2週間前後かかります。また、株式会社を清算する時にはかなりの時間がかかります。ただし、簡単に始めれるわけでも、辞められるわけでもない株式会社だからこそ、対外的な信用力があります。
個人事業主として売上高が大きくなってくると、株式会社にした方が良いという話を聞きます。ある条件においては当然メリットもあるでしょう。「株式会社にすることで節税になる」や「○○万円以上ならば、株式会社が良い」といった情報はインターネット上に沢山掲載されているので、ここでは触れませんが、色々な見方があるでしょう。
あまり、売上高や税金税率等ばかりに意識を向けずに、事業者としてトータル的に判断してみてください。税額は下がったけれど、事業運営の為の費用が増えたのでは、本末転倒になってしまいます。
個人事業主と株式会社では、やはり取引先との関係も見られ方も異なります。個人相手の商売で屋号などが全面に出ている場合、顧客側は個人でも法人でも関係ない場合があります。但し、何かしらの契約を結ぶ場合、個人では信用不足で契約できない場合もあるかもしれません。
また、借入が必要な場合などにも株式会社の方が信用してもらえるでしょう。
上記の通り、一概にどちらが良いとは言えません。行う事業内容や取引先との関係性、売上規模、雇用状況など様々な要因によってことなるからです。また、どこにメリットの重きを置くかによっても異なってくるでしょう。
税金や経費の範囲まで比較していくと色々な面でメリット・デメリットがあります。
但し、株式会社にするということは会社という組織にしていくということです。個人の利益を追求していくのであれば、個人の利益が高い方を選べば良いのかもしれません。しかし、組織として大きくしていく場合には1人個人の利益ばかりを求めていったのでは、大きくなりません。
3年後、5年後に仕事を通じてどうなっていたいかを基準にしてみるのも一つかもしれません。
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